平成28年10月から健康保険・厚生年金に改正があります

法改正

平成28年1月から健康保険と厚生年金の改正があります。短時間労働者に対する健康保険と厚生年金の適用拡大・・・大きな話題になっているのでニュースなどでご存知の方も多いと思います。これは被保険者数が500名を超える事業所が対象です。しかし実は他にも改正点があり、こちらは全事業所が対象となります。適用拡大の大きな記事の下の方にちょこっと入っている改正点なので、見逃しがちですがとても重要です。情報収集する際には大きな改正以外にも注意するようにしてください。それでなくても9月は厚生年金保険料率の変更や定時決定の反映もあります。忙しい時期にうっかり重要な改正を漏らさないようにいたしましょう。

それでは今回は全事業所に適用になる改正点を詳しく見ていきましょう。

厚生年金の標準報酬月額の下限等級が追加

平成28年9月から厚生年金の保険料率が変更になり、多くの事業所様では新料率表をダウンロードなさったことと思います。しかし、10月からまた新料率表のダウンロードが必要です。都道府県別料率表(厚生年金下限等級追加版)

平成28年10月から厚生年金の標準報酬月額の下限等級が追加となります。今までの厚生年金の下限等級である1等級は標準報酬月額98,000円でした。ここに標準報酬月額88,000円という等級が加わります。これにより厚生年金の等級が30等級から31等級に変更となります。後でお話しする短時間労働者に対する適用拡大にあわせての改正ですが、全事業所が対象となります。

今まで98,000円という枠しか無かったからこの等級となっていると言う被保険者の方は、来月10月20日頃、日本年金機構から新等級の決定通知書が届きます。(年金事務所に確認済みです)そして10月分の厚生年金保険料から変更となります。該当の被保険者のいる事業所の方は給与計算時に等級を変更することを忘れないでください。

短時間労働者の資格取得の基準の変更

今まで、フルタイム以外の短時間労働者の健康保険・厚生年金の適用があるか否かは、1日又は1週間の所定労働時間および一月の所定労働日数が事業所の一般の社員のおおむね4分の3以上あるかどうかで判断してきました。おおむねって・・・? この判断基準が以下のとおり改正されました。

1週間の所定労働時間および一月の所定労働日数が一般の社員の4分の3以上 すっきりしましたね。この判断基準に該当すれば被保険者となります。これは次にお話しする大きな事業所の話ではありません。全事業所が今後この基準を目安に自社の短時間労働者が被保険者となるか判断することになります。

因みに短時間労働者の算定基礎届と月額変更届などにおける支払い基礎日数は各月11日以上の勤務日数があるかどうかで判断するようになります。現在は15日と17日で見ていますが、これがかなり下がることになります。算定基礎届は来年注意する必要がありますが、月額変更届はパートタイマーの方の時給変更などがあれば近々該当することもあると思いますのでご注意ください。

健康保険の被扶養者認定の同居要件の変更

今までは兄弟姉妹の扶養について制限がありました。弟と妹については被扶養者との同居要件が無く、兄と姉は被保険者との同居要件が必要だったのです。なんだか変ですね。兄と姉は年上だから余り扶養することは無いだろうという判断だったのでしょうか?しかし、弟が兄を養っているという状況は大いに考えられます。例:病気で働けない等

そこで今回の改正となりました。兄弟姉妹について同居要件撤廃です。このため、今まで扶養の申請時に添付していた同居の事実を確認する書類も不要です。

ここまでが全事業所に該当する改正点です。結構重要ですよね。次に被保険者数500名以上の大きな事業所の改正点のポイントだけまとめておきます。

特定事業所に勤務する短時間労働者に対する健康保険・厚生年金の適用拡大

特定事業所とは

今回の短時間労働者への健康保険・厚生年金の適用拡大は、特定事業所に勤務する方という限定があります。特定事業所とは同一の事業主の厚生年金被保険者数の合計が1年で6ヶ月以上500人を超えることが見込まれる事業所のことを言います。つまり大きな事業所ですね。この事業所の短時間労働者で以下の条件を全てを満たす場合には平成28年10月1日以降、健康保険・厚生年金の被保険者となります。

短時間労働者の適用要件

1.週の所定労働時間が20時間以上であること

2.雇用期間が1年以上見込まれること

3.所定内賃金月額が88,000円以上であること

4.学生でないこと

今回の改正について日本年金機構からの短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大が始まります短時間労働者に対する適用拡大に係る事務の取扱いも参照してみてください。資格取得手続の様式も変更になるようですよ健康保険・厚生年金保険資格取得届(短時間労働者用)。旧書式で申請する場合には備考欄に短時間労働者であることを記載すればOKのようです。

今回は全事業所に関係のある改正の方をメインに解説いたしました。平成28年は4月に健康保険で上限等級が加わり、10月に厚生年金に下限等級が加わりました。それでなくても9月には厚生年金保険料率の変更や定時決定の反映もあります。事務処理が忙しい時期にうっかり重要な改正点を漏らさないように注意していきましょう。

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