育児休業法等改正のポイント

法改正

令和4年4月以降、新しい育児休業制度と現行育児休業についての改正が段階を経て施行されます。またそれに伴い健康保険法にも改正が及びます。現状では詳細が公表されていない事項が多いですが、改正点を5つのポイントにまとめます(最後のポイントは大企業のみ対象)。なお施行日については現時点(7月12日現在)決定している事項については記載し、未確定の事項については確定次第、随時このページで更新したいと思います。(更新:2021年9月28日、未確定であった施行日が確定したので追記いたしました)

その1:出生直後の育児休業【新制度】令和4年10月1日施行(追記)

子の出生直後の育児休業制度が新設され、雇用保険の育児休業給付の対象となります。ポイントは以下の通りです。

①子の出生後8週間以内に、4週間まで育児休業が取得できる。しかも2回に分割することも可能

いわゆる産後休業中に配偶者が短期間でも育児休業を取得し易いように新制度が設けられました。

②原則2週間前までの申し出で取得可能

ただし、法を上回る雇用環境の整備が労使協定で定められている場合には、1ヶ月前の申し出でも可能です。

③労使協定に定めることにより休業中に就労することが可能

育児休業中は原則就業することはできません。しかしこの新制度期間内では労働者が申し出た就労条件を労使が協議し、合意した範囲で就業可能となります。就業可能日数等は後日定められる予定です。

その2:現行の育児休業の改正

①現行の育児休業も分割取得可能へ 令和4年10月1日施行(追記)

現行の育児休業は原則分割して取得することはできませんでした。今後は2回まで分割して取得することが可能になります。また、この改正に伴い、1歳以降の育児休業延長時の休業開始日についても、従来のように限定せず柔軟な開始日時の設定が可能となります。

②有期労働者の育児休業取得要件の緩和 令和4年4月1日施行

【引き続き雇用された期間が1年以上】という有期労働者の育児休業取得要件が撤廃となります。雇用期間が1年未満の方を除外するには労使協定の締結が必要です。

その3:育児休業に関する事業主の措置義務 令和4年4月1日施行

育児休業や産前産後休業などの取得促進のため、事業主に以下の措置義務が課されます。

  1. 雇用環境の整備
  2. 個別周知・意向確認

これらの措置義務は複数の選択肢の中からいずれかを選択する形になります。詳細は未発表です。

その4:育児休業中の社会保険料免除【健康保険】 令和4年10月1日施行

新しい育児休業制度が新設されたことに伴い、現行の育児休業期間中の社会保険料免除※に加え、2週間以上の育児休業でも社会保険料が免除される制度が始まります。※現行の育児休業中の社会保険料免除:育児休業開始月から育児休業終了日の翌日の属する月の前月まで社会保険料を免除する

新しい社会保険料免除の要件は、育児休業開始日の属する月と、休業終了日の翌日の属する月が同一であり、かつ休業が14日以上であること。また賞与の社会保険料については育児休業1ヶ月を超える場合に免除となります。

その5:大企業に対する育児休業取得状況公表義務 令和5年4月1日施行

従業員数1,000名を超える企業に育児休業取得状況の公表が義務付けられます。公表内容の詳細は未定です。

これらの改正に伴い、事業主としては、会社としてどのような方法を取って育児休業を取得をしやすい環境作りをすすめるかなどの方針を決定し、制度の運営方法について協議する必要があり、そのうえで【育児介護休業規程の変更】が必要です。施行日が未定の事項も多いですが、施行日間際に慌てないようにこれらの改正点について、少しずつ準備を進めるようにいたしましょう。

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